毎日花を咲かせるツバキに心がなごみます

●我が家の前は市立の図書館。その庭に植わっているツバキが、いまを盛りと花を開かせています。木ヘンに春と書いて「椿」ですから、当然のことかも。日本原産で『万葉集』にも出てくる椿は、古くから日本人に親しまれてきたようです。もっとも、高尚な歌ごころとはからっきし無縁の私には、都はるみの『アンコ椿は恋の花』(1964年・レコード大賞新人賞)とか、黒澤明監督の映画『椿三十郎』(1962年・三船敏郎主演。仲代達矢や小林桂樹も出ていましたね) くらいしか頭に浮かんできません。ヴェルディのオペラ『椿姫』は観ましたよ。

●椿との接点となると、最近では「椿屋珈琲店」でしょうか。銀座の花椿通りに1号店をオープンしたのが店名の由来なのだとか。このあたりは江戸時代、松江藩の上屋敷があったため出雲町と呼ばれていましたが、1934年、出雲椿(ヤブツバキ)を街路樹として植え花椿通りと呼ばれるようになったそうです。「椿屋」のコーヒーは1杯1000円近く、そうそうは行けません。相手が支払ってくれるのがわかっているときは、打ち合わせ場所に指定させてもらったりしますが(笑)。

●「椿山荘」もありますね。JR目白駅からバスで10分ほど走ったあたりは南北朝時代から椿が自生する景勝地。明治の元勲山縣有朋が、西南戦争の功によって懐にしたお金で別荘地として購入、「椿山荘」と命名したのだとか。そういえば我が家の近くにも「つばき公園」が。フツー過ぎて「?」の感もありますが、いちおう写真を付けておきます。

●でも、私にとっていちばん強く記憶に残る椿は、サラリーマン時代に通い詰めた新宿2丁目のスナック「黒椿」。ずっとグラスを手にし続けもの静かにしているママを相手に(椿の花言葉は「気取らない優しさ」)痛飲していたっけ。店はもうありませんが、ごくたまにその界隈を通ると、いやおうなしに記憶がよみがえってきます。(2022/3/3)