『100歳の華麗なる冒険』に詰まった世界史

2015年1月21日

Poster2沖縄に来たら映画──これは私と家人の定番です。今日は、東京で予告編を見て、「これは」と思っていた『100歳の華麗なる冒険』を観ました。どちらかといえば、マイナーな映画でしょう。しかし、最近はインド映画と並んで、スウェーデン映画がけっこう注目されています。そういえば、ミステリー小説もここ数年、スウェーデンの作品が次から次へ翻訳。・出版されていますね。

その昔は「マルティン・ベック」シリーズくらいしかありませんでした。マイ・シューヴァル(Maj Sjowall)とペール・ヴァールー(Per Wahloo)夫妻による『ロゼアンナ』『蒸発した男』『バルコニーの男』『笑う警官』『テロリスト』など、とても面白く読んだ記憶があります。コルベリ、ラーソン、メランデル、ルンといったそれぞれ個性的な刑事を率いるのが殺人課主任のマルティン・ベック警部。全編、いかにも北欧らしいクールさにあふれているのが印象的でした。

そのスウェーデンで100万部以上売れたというベストセラー小説『窓から逃げた100歳老人』が原作の映画。子どものころから病的な爆破狂だった主人公アランが、100歳の誕生日に老人ホームから脱出するところから物語は始まります。なけなしの小銭をはたいて、最寄りのバスターミナルからバスに乗ろうとしたとき、ふとしたことから大金入りスーツケースを手に入れます。

それは麻薬か何かでギャングが稼いだお金らしく、そうとは知らないアランは、行った先々で珍道中を繰り広げます。それを面白おかしく描いたこの作品、本国ばかりかヨーロッパ各国で大ヒットを記録したそうです。

主人公アランは100歳ですから、2度の世界大戦、そして冷戦も経験しており、フランコもスターリンもお友だち。スパイ稼業に身をやつしたこともあるようで、歴史のお勉強もできたりします。