最後の宿・草津にはガッカリ──中山道バスツアー⑥

●琵琶湖の東岸、近江富士の脇から日が昇り始めました。ツアーもいよいよ終わりに近づき、6日目の今日は電車での移動。琵琶湖畔のホテルを出発、JR大津駅から草津駅へ。草津は中山道と東海道とが分岐する交通の要衝で、本陣・脇本陣が2軒ずつ、旅籠が70軒以上という大きな宿でした。
●いまも江戸時代の立派な姿をとどめる本陣は、現存する中では最大規模。吉良上野介、浅野内匠頭[たくみのかみ]、土方歳三、徳川慶喜など、誰もがその名を知っている人物も宿泊しています。しかし、残念なのは周囲の光景。隣も向かいも、いま片っ端から高層マンションが建設されているのです。街並み保存とは真逆の状況にガッカリしてしまいました。
●たしかに、大阪梅田からJRで1時間以内、本陣のあるあたりは駅から徒歩圏内ではありますが、これはないでしょう。江戸時代を彷彿させる建物も何軒か残ってはいるものの、街道としての味わいは台無し。観光より開発を重視する姿勢が露骨に感じられます。逆に言えば、観光をアテにしなくても経済的に成り立つのが草津なのです。
●いささか興をそがれた心持ちで大津に戻りましたが、午後訪れた三井寺[みいでら](正式には園城[おんじょう]寺)を歩いたことで持ち直しました。比叡山延暦寺と何百年にもわたって争いを続けたことでも知られていますが、豊臣秀吉、毛利輝元、徳川家康など、錚々たる武将の寄進した建造物が境内各所に。高台院(秀吉の正室)の寄進によって建てられた金堂は国宝で、その姿は優雅のひと言。(2021/4/15)

Facebook Post: 2021-04-17T21:01:49