行くぞーっ! 2023年フランスW杯も!

2019年11月3日

新横浜駅の構内の看板が、決勝戦用に付け替えられていました。人の出も準決勝のときよりさらに早い感じ。駅からスタジアムまで、外国人があふれています。早々にやってきてビール、ビール、ビールで盛り上がるのが彼らの習慣なのです。人が多すぎて歩道に収まりきらない場所もあるほど。イングランドのサポーターは、定番の応援歌『スウィングロウ・スウィートチャリオット』を大合唱しています。
Swing low, sweet chariot,
Coming for to carry me home,
Swing low, sweet chariot,
Coming for to carry me home.

それにしても、外国人サポーター(男性)の体の大きさには、感心するばかり。レプリカジャージのままグラインドに出れば、選手ですといっても通りそうな人が多いのです。決勝とあって、飲んでいるビールの量も! 声も大きいですし、騒ぎ方もハンパありません。

   

イングランドvs南アフリカの組み合わせは、くしくも2007年10月21日の決勝と同じ。このときも私はパリ郊外サン・ドニのスタジアム(Stad de France)で観戦しています。試合は6対15で南アが勝ちましたが、両国とも得点はすべてPK。トライは見られずに終わってしまいました。ビッグゲームではよくあることと聞いてはいましたが、実際にこの目で見ると、そうなるべくしてなっているのがよくわかります。どちらもディフェンスに全精力をぶつけるので、その堅いことといったらありません。逆に言うと、最終的にはペナルティーを多く犯したほうが不利ということになるのですね。

2007年の南アの優勝は初出場の1995年以来2回目、ちょうど12年後でした。それからすると、12年後の今回は優勝してもおかしくないかも。ただ、今回の下馬評はイングランドが有利で、私の周りも、「イングランドの大勝」と予測する人が多数。でも、南アが勝てば、その南アに負けたJAPANはたいしたものだという評価が聞こえてきても不思議ではないはず。私としては南アに勝ってもらいたいというのが正直な気持ちです。

17時50分、選手がグラウンドに入ってきます。太鼓の音ともに両チームが入ってくるのは日本らしさ満点で、ホントよかったですね。南ア初めての黒人主将・シヤ・コリシもいささか緊張気味。でも、胸に期すところは大きいのではないでしょうか。

 

一方、イングランドの主将オーウェン・ファレルの不敵な表情はいつもどおり。ニュージーランドとの準決勝、ハカの前でV字陣形を組んだとき中心に立っていたファレルの笑みは世界中に流れたはずです。まだ28歳と若いのですが、顔に刻まれている経験値は30代半ばの貫禄がただよっています。プロデビューは17歳、イングランド代表デビューは20歳、キャップ数も70ですから、当然といえば当然かも。

さて、試合のほうはというと。今日も後半25分までは12年前とまったく同じ。このままで終わってしまうのかと思っていたのですが、後半26分にマカゾレ・マピンピが、さらにその8分後には“ポケットロケット”チェスリン・コルビがトライを決め、終わってみれば32対12で南アの快勝でした。

イングランドは準決勝のNZ戦とはまるで別のチームのようで、ほとんどいいところなしで終わってしまいました。何より、スクラムでいやと言うほどペナルティーを取られたのが響きました。80分を通じて6回もペナルティーを取られてしまってはイングランドも苦しいでしょう。開始早々、スクラムの中心=プロップのカイル・シンクラーが負傷退場したのが大きかったようです。

PKを得るたび、南アのSOハンドレ・ポラードが百発百中とまでは言いませんが、PKを確実に決め早々と優位に立ちます。前半30分過ぎからイングランドがフェイズを重ねましたが、5分間攻めに攻めましたが、結局トライは取れずPKの3点のみ。しかも、その直後南アにPKを2本連続で決められ、これで「勝負あった」の感じがしました。最後は時間を告げるドラが鳴ると、FWが密集から出したボールをBKが蹴り出してホイッスル。

今日の試合は秋篠宮ご夫妻が観戦に来られ、イギリスのヘンリー王子と並んでロイヤルボックスにその姿が見えました。表彰式のメダル・プレゼンターもされていましたね(安倍首相もいたようですが、別に出てこなくてもいいんじゃないのと思いましたが)。

表彰式は2位・1位の順でメダルの授与→「ウェブ・エリス・カップ」授与の流れ。でも、イングランドの選手のうち何人かはメダルを首にかけてもらうのを拒んだり、かけてもらってもすぐ外してしまったり。悔しいのはわかりますが、こういう姿は見たくないですね。もうひとつ、「ウェブ・エリス・カップ」授与のときの盛り上げは少々物足りませんでした。前回がド派手だっただけに、いささか見劣りしました。(写真は©World Cup Rugby)

まあ、それはそれとして、すべて終わったあと、イングランド、南アの順に全選手がスタンドの前まで歩いてきて、今大会ですっかり定着したお辞儀をしていたのを見て温かい気持ちになりました。次回は、そうした「(日本流の)礼」とは縁の薄そうなフランス開催ですから、ぜひとも現地に行って確かめてみたいとも思っています。

 

  

なお、南ア代表として今大会に出場していた選手のうち、フッカーのマルコム・マークスがNTTコミュニケーションズ、BKのダミアン・ディアレンデがパナソニック、同じくジェシー・クリエルがキャノン、さらにBK(FB&ウィング)のウィリー・ルルーがトヨタ自動車でプレーすることになっているといいます。ヤマハのクワッガ・スミス(FW第1列)、クボタのドウェイン・フェルミューレン(NO.8)、HondaのRG・スナイマン(ロック)の3人はこれまで同様。また、ルルーもかつてキャノンに2年在籍していたことがありますが、昨日記したニュージーランド代表の3人、オーストラリアの4人、サモアの2人も含め、2020年のトップリーグは興味津々です。