JAPANのフィジカル、テクニックはいまや一流の域

2019年10月17日

JAPANがスコットランドに勝った13日の試合。最初のトライは福岡堅樹からのオフロードパス(タックルされながら出すパスのこと)を受けた松島幸太朗が、2本目は体を回転させて相手ディフェンダーを振り切った堀江翔太からジェームズ・ムーア、ウィリアム・トゥポウと3連続のオフロードパスを受けた稲垣啓太が、3本目はウィリアム・トゥポウのキックを体を伸ばしてつかんだ福岡の、どれも素晴らしいトライでした。
Rugby World Cup Limited © 2007 – 2019.

 

ついでに言うなら後半早々のトライも、福岡がリーチ・マイケルのタックルを受けた相手のボールをもぎ取り、そのまま40メートル独走してゴールポスト下に飛び込んだもの。4本とも、これまでのJAPANにはできなかったプレーばかりです。
Rugby World Cup Limited © 2007 – 2019.

 

なかでも2本目は、ラグビー好きなら誰もがしびれるようなとても美しい流れの中で生まれました。オフロードパスを3回も続けるというのは、「ティア1」の代表国でもそうそう見られないシーンです。コンマ5秒(いや3秒かも)でもタイミングがずれればパスを受け取ることはできず、あとにつながりません。それを、なんと3回連続! ニュージーランドやイングランドの選手がこのシーンを見ていたらおそらく肝を冷やしたにちがいありません。このシーンのビデオは何度見ても、身の毛がよだってきます。体がふるえます。そして、目頭が熱くなります。初めてラグビーの試合を観た人でも、うれしくなるのではないでしょうか。下記が大会の公式映像ですが、その1分30秒あたりから2分の映像をご覧ください。

Rugby World Cup Limited © 2007 – 2019.

https://www.rugbyworldcup.com/video/513197

 

3本目の福岡のトライも、「JAPANも、あんなことができるようになったんだ!」と思わずにいられませんでした。これまで「ティア1」の国の試合を見るたびに、絵に描いたようなキックパスを目にしながら、「これは日本人には無理だろうな」と思ったものでした。エネルギー効率という点からすれば、これほど楽なトライはありません。でも、それを現実におこなうのはチョー難しいのも事実。それこそ何百回も練習しなければ決められるようにはなりません。

Rugby World Cup Limited © 2007 – 2019.

しかも、実際はグラウンドの上で自分自身も動きながら、味方と相手の選手の一夜動くスピードを一瞬で判断して蹴るのですから、それこそ百戦錬磨を経なければ得点にはつながりません。せっかくいいキックパスが飛んできても、ピンポイントのタイミングでキャッチできなければトライにはつながらないのです。これまで相手国の選手がキックパスからトライを取るシーンを見るたびに、うらやましさを感じ、ため息をついてきました。それを、我がJAPANが決めたのです。言葉だけでなく、JAPANは文字どおり「ONE TEAM」になっています。

Rugby World Cup Limited © 2007 – 2019.
フィジカルの点でも鍛え上げられているという感じがします。とにかくバテません。15分ほどのハーフタイムをはさんで正味80分間、走り・追いかけ、ぶつかり・ぶつかられ、倒し・倒され、もみくちゃにされ、踏まれの連続。バテているかどうかは、選手が両手を膝や太腿についているかどうかで判断できますが、そういう選手がJAPANは少ないのです。プレーが進んでいる間グラウンド上に倒れたままになっている(負傷した場合は別として)選手もほとんど見ません。倒されてもすぐ起き上がり、密集の下で踏みつけにされていたところからもすぐに脱し、次のポジションに移動(しようと)しディフェンスに、あるいはアタックにかかろうとしています。息つく暇もないという言葉どおりに動き続けるJAPANの選手のタフさは群を抜いているのではないでしょうか。

今大会のJAPANは、これまでホントに長い間、日本のラグビーファンが夢に見ていたことを次から次へやってのけてくれています。JAPANにもう「まさか」はなさそうです。長い間「まさか」の領域に閉じ込められてきた高等技術も、いまや「お手のもの」とまでは言いませんが、JAPANの選手たちにとってはごく日常的なものになっています。すごい時代がやってきました。それを67666人の一人として目の当たりにできる私は幸せです。