東京の地下鉄はいまイチ不親切

最近気づいたことなのですが、東京の地下鉄の駅、とくに銀座駅のわかりにくいことといったらありません。銀座線、丸の内線、日比谷線の3線が乗り入れているのですが、どの線も、改札口が違ったり、そのあと地下通路で迷ったりすると、とんでもないところで地上に出てしまいます。史上に出る階段のところに、地上の情景を撮った写真が掲示されているところもありますが、結局はままよとばかりに階段を昇っていくことのほうが多いのです。

東京に40年も住んでいる私ですらそんなありさまですから、地方から出てきた人、外国人の観光客など、これでどれほど時間をロスしているのか、わかったものではありません。駅や連絡通路の改良工事をおこなうなどして、もっとわかりやすい地下鉄にしてほしいと思うのですが、いっこうに改まる気配はありません。

その点、外国の地下鉄は優秀です。ロンドンの地下鉄のウェブサイトを見ると、“Closed stations” という項があり、10月31日現在、Blackfriars、Cannon Street、Latimer Road の3駅が閉鎖中であることがわかります。

たとえば、最初のブラックフライアーズ駅のところを見ると、“Closed until late 2011. Please use Temple and Mansion House stations. Tickets are also accepted on bus 388 between Mansion House and Embankment. Journey times may be increased by up to 10 minutes.”とあります。「来年のかなり遅い時期まで閉鎖は続きます。その間はテンプル駅かマンションハウス駅をご利用になるか、388号線(マンションハウス・エンバンクメント間)のバスをご利用ください。それにより10分、余計にかかります」ということなのですが、年がら年中こうした案内がなされています。

また、キャノンストリート駅は「土曜日と日曜日が閉鎖されるので、バンク駅かマンションハウス駅、モニュメント駅をご利用ください」、ラティマーロード駅は「2011年8月初めまで閉鎖……」となっています。

つまり、老朽化したり不都合があったりする駅の改良工事をおこなっている間はクローズしますよというわけです。東京の地下鉄でもそれは同じですが、ひとつの駅をまるごと閉鎖して工事するということはありません。

東京では最近、民営の東京メトロと都営地下鉄の一体化が論議されています。たしかに、これも外国人には非常にわかりにくいでしょう。浅草あたりに行くと、地下鉄の路線図と首っ引きで悪戦苦闘している外国人観光客の姿をしょっちゅう見かけますが、他人事ながら心配になります。

設備や表示など、都営地下鉄はやはり一段劣っている印象が否めません。名古屋のように、早い時期にできた公営地下鉄、とくに古くからある路線の駅や改札口周辺の通路は、全体的に薄暗いというか、どこか薄汚れた感じがします。後発の福岡市や仙台市の地下鉄に比べると一目瞭然です。ただ、その点はニューヨーク、ロンドンのほうがはるかにひどいです。構内やプラットホームも暗いので、よけいにそれが強く感じられます。逆に、台北やソウル、香港などアジアの地下鉄は、できてまだそれほど永井時間が経過していないだけに、明るさ、清潔さ、そして何よりわかりやすさがきわだっています。

地下での工事となると、費用も余分にかかるのでしょうが、一日も早く改善してほしいものです。