大迫力のオーロラに大感動・大満足!

2019年3月28日

船に夜を過ごすのもいよいよ今日がラスト。朝から素晴らしい好天に恵まれました。今回のツアーの一つというか売りである、ヨーロッパ最北端(北緯71度10分21秒)の岬「ノールカップ」訪問にはもってこいの空模様です。ところが、なんとなんと、「ノールカップ」への入口であるマーゲロイ島の港ホニングスヴォーグに降り、バスに乗ろうかというまさにその瞬間、添乗員さんの声が。「今日は残念ながら、ノールカップに行く道が通行止めになってしまいました」ですと。前日まで続いた悪天候が災いしたようです。全員アチャーッ! という感じで、「ではどうするの?」。代替観光というにはあまりに方向性が違う、漁村訪問と町の見学ということにあいなりました。

途中、「ノールカップ」に向かう道路(30kmほど)との分岐点を、うらめしい気持ちで通り過ぎ、ひなびた漁村まではゆっくり走ります。こんな田舎でも、家々はかわいらしいという言葉がぴったりのカラーで塗装されており、日本の漁村とはまったく違う印象が。空はますます晴れ渡り、風もなく、気温もそれほど低くないというのに、いまさらながら「なんで?」という質問が同行のツアーメンバーから発せられます。要するに、「ノールカップホール」という施設そのものが閉鎖されてしまったのですね。というわけで、楽しみにしていた、地球の形がユニークなモニュメントの前で記念撮影という夢もついえてしまいました。

漁村に到着し、私たちが訪れたのは小さな入江の一角にある加工場。そこいら中にタラが干してあります。1、2日前に獲れたとおぼしきもの、1週間から10日ほどたったように見えるもの、頭の部分だけなど、その姿はさまざま。このエリアでいかに多くタラが獲れるかがひと目でわかります。

 

 

その一角に、こんなところになぜ? と言いたくなるようなギャラリーがありました。中に入ると、切り絵でアートを作っている女性作家がひとり、私たちを歓迎してくれます。温かみのあるユニークな風合いの作品がいくつも並べられ、家人も一つ購入。

ホニングスヴォークは人口3千ほどの小さくて地味な町ですが、北部ノルウェーの重要な漁港だそうです。1944年、それまでこの町を占領していたドイツ軍が撤退するにあたり、町を徹底的に破壊していったため、教会だけが唯一残ったといいます。

バスの窓からその教会を見たりしながら、桟橋まで戻りました。少し時間に余裕があったので、近くを回ってみました。雪が解けてグチャグチャにぬかるんでいる道路の歩きにくいこと。途中、「ノールカップ」をあきらめさせられたクルーズの客と何人もすれ違いました。

シーフードビュッフェの夕食が済み、部屋でひと休みしていると、添乗員さんの興奮した声が客室の中まで聞こえてきました。「オーロラ、出ましたーっ! 出ましたよーっ!!」 ほとんど着の身着のまま状態で上の甲板に行くと、たしかに、いますぐにでも出そうな空です。星がいっぱいで、雲がほとんどありません。風もおだやかで、気温はおそらく0℃くらい。

3、4分たつと、まず小さなオーロラが。緑色のぼやーっとした巨大な雲のような感じです。それが自由自在に動き、大きくなったり小さくなったり。いったんは消えましたが、今度は逆の方向にそれより大きなオーロラが。風になびくカーテンのように形をしています。それが左から右へ、上から下へと変幻自在に動き、形を変えていきます。さらに、もっと大きなオーロラが、それこそ空の半分近くを覆うように姿をあらわしました。それがなんと3分近く続き、私たちはもう極度の興奮状態に。

昨夜までは、三脚をセット、オーロラ出現に備えていたのですが、この夜は荷造りもしなくてはならなかったので、写真を撮るのは早々にあきらめ、「スマホでいいや」と思っていた私。しかし、スマホででも十分に撮れるくらいの巨大でドラマチックなオーロラですから、きちんと準備をして甲板に上がってきた人は、それぞれ素晴らしい写真が撮れたようです。

 

7年前、カナダのイエローナイフというところで、マイナス20数度の極寒の夜、オーロラを見ましたが、それに比べると今夜のそれはスケールが違いすぎ、大パノラマといった感じ。イエローナイフがシャボン玉の泡だとすれば、このとき観たオーロラは固いラグビーボールのようなものです。最後の夜に観ることができ、ホント幸せでした!!! 「ノールカップ」に行けなかった落ち込みから、天まで一気に昇りつめたような感じでしょうか。