ずーっと見ていても飽きることのないフィヨルド

()2019年3月27日
なんだかあっという間に時間が過ぎていく感じで、まったく退屈しません。乗る前は、フィヨルドを縫うようにしてただ航行していくだけだから、途中で飽きてしまうのではないかとも正直、思っていました。でも、実際に乗ってみると、海岸の景色は千変万化、どんどん変わっていくのです。

北極圏に入るまでは積雪量もそれほどではないせいか、山肌にも木や草、また岩の姿が見えました。というか、表面はあまり白くないのです。しかし、緯度が高くなるにつれ、それが徐々に逆転、ストークマルクネス、ソルトラン、リソイハムンを経て、今朝到着したハシュタ近辺は9割方、雪と氷に覆われています。もう見るからに「北極圏!」といった印象ですから、気持ち的にも「寒い~!」となり、体が縮こまりそうです。

今朝6時45分に着いたハシュタ(Harstad)の町は、停船時間が1時間ということもあって、ツアー一行で上陸。船の近くを40分ほどかけて歩きました。とりたてて特徴があるわけではありませんが、それでも寒さを実感する──とくに足もとから──にはいい経験でした。

午前中は船内のサロンのようなところで、「北欧クイズ&講座」の時間がもたれ、ここまで数日の間、添乗員さんと現地ガイドの方が伝えてくれた話の復習作業のようなことをしながら楽しみました。聞いているようで頭に入っていないことも少なからずあり、旅で得られる情報は、幅も広く量も多いことに気づかされます。

14時15分、トロムソに到着。ここは北極圏では最大の町ですから、当然下船観光となりました。船を降りるとバスでまず「ポーラリア」という水族館に行き、アザラシへの餌やりを見学。私は早々に外に出てタバコなど吸っていましたが、水族館の周囲には、アザラシ狩猟船が保存展示されたガラス張りに建物がありました(冬場はクローズ)。その建物は、すぐ前にノルウェーの探検家ナンセンの小さな彫像があったので、てっきりナンセンが北極点をめざして探検したときに乗っていったフラム号かと思っていたのですが……。

  

ここから橋を渡りメインランド側にある「北極教会」に。1965年に完成したという教会ですが、ガラスとコンクリートをふんだんに用いて作られている岩の教会もそうでしたが、北欧というところは、伝統的な建築様式の教会もある一方で、こうしたシンプルなデザインのものもときおりあるようです。MARIMEKKOやIKEA、INOVATOR、KLIPPAN、IITTALA、ARABIA、ロイヤルコペンハーゲン、ヤコブ・イェンセン、BANG&OLUFSENなど、フィンランド、スウェーデン、デンマークのブランドはその名が広く知られていますが、なぜかノルウェーのブランドは日本ではほとんど無名。ただ、そのコンセプトにはどこか共通したものがあるのでしょう。

   

教会内部もシンプルそのもの。木をふんだんに用いてあるので、ぬくもりがよく伝わってきますし、三角形のステンドグラスも斬新な印象を受けました。バスでターミナルまで戻ると、乗船時刻まで1時間ほどあったので、近くをひと回り。公園にアムンゼンの銅像が立っています。そこから少し街中に入ると、世界最北端(?)の地にあるセブンイレブン、こぎれいでシンプルな教会、かわいらしい店が並ぶ商店街がありました。いかにも北欧、ノルウェーのイメージで、ぬかるんだ道も気にならず、ゆっくり見て回ったあと乗船。

 

 

 

夜11時頃、「オーロラが見えそうですよ!」という添乗員さんの声が聞こえました。あわてて7階のデッキまで上がっていったのですが、残念ながら不発。たしかに、空は晴れていて星もそこそこ見えはしましたが、オーロラ出現までには至らず、部屋に戻りました。