クルーズ3日目で初めて見た月

2019年3月25日
モルデを前夜18時30分に出航、途中クリスティアンスンに停船し、2つ目の停船観光地トロンハイムに到着したのは今朝6時。北緯63度25分ですから、気温は当然低いです。それでも、メキシコ湾流の影響で、予想していたほどではありません。オーレスンと違い、こちらは道路のかなりの部分が凍っていて、雪も舞っていました

朝食をさっさと済ませ、8時には船を降り、タクシーで中心部に向かいます。駅の近くで下車し、そこからは徒歩。かつて首都が置かれていたことを示す王宮は木造で質素な印象です。それを見ながら南に下っていくと、ニーダロス大聖堂が見えてきました。そちらを訪れる前、東に折れたところに架かる「はね橋」に立ち寄りました。川の両岸には新旧の倉庫がびっしりと並び、美しい光景を見せてくれます。冬のにぶい太陽光のもとでもこれほどの美しさですから、春から夏にかけての時期、燦燦と照らされた明るい空の下であればさぞかし映えるでしょう。町には大きな大学があるらしく、歩いている人の多くが学生です。

     

はね橋から戻ったところにあるのが「ニーダロス大聖堂」。中世に建てられた建物ではノルウェー最大なのだとか。1070年に建造が始まり完成したのは1300年ごろといいます。かつてのノルウェー国王で聖人にも叙されたオラーフ・ハーラルソンスが祀られていることからもわかるように、長らく国王の戴冠式はここでおこなわれていたそうです。大聖堂の正面ファサードには、聖者54人(そのうち1体がオラーフ)の彫像が並んでおり、おごそかな雰囲気を出しています。大きなわりには内部も簡素な造り。これはやはりプロテスタントの教会だからでしょう。

 

 

     

かつて、現在の首都オスロからこの「ニーダロス大聖堂」まで(全長約640km)の道のりは巡礼路として親しまれてきたといいます。それが近年復活し、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路と同じように、歩いて訪れる人の姿も見受けられるのだとか。日本の八十八カ所参りも全国各地に同じようなコースがあるのと同様、ここニーダロス大聖堂への巡礼路も、そうした位置付けなのかもしれません。

大聖堂から駅近くのショッピングモールまでは雪道を歩いて到着。町の中心であるこのあたり一帯はどこもかしこも工事中で、かつて首都が置かれていたこの町を作ったオラーフ1世の銅像が立つ広場もあちこち掘り返されており、どう撮っても美しくはありません。ショッピングモールはそれほど大きくはありませんでしたが、ノルウェーのどこにでもあるスーパーを中心に数十点の店が入っていました。バナナ3本と500mlの水(ペットボトル)をスーパーで買いましたが、これで54ノルウェークローネ(日本円で800円強)ですから、やはり物価は高いです。

タクシーで中心部から船まで戻り、次の停船地ロルヴィクまでは232kmと、もっとも長いノンストップ区間です。12時に出発し、到着予定は20時45分、8時間余ぶっ通しで走ることからもそれがよくわかります。

この夜、今回のクルーズ旅行で初めて月を見ることができました。といっても、厚い雲のほうが圧倒的に多い空でしたので、かろうじてといった感じです。