復活した名古屋城「本丸御殿」

2018年6月15日
小・中・高と名古屋で過ごしたにもかかわらず、名古屋城を見たのはこれまで1回だけ。数年前のことで、このときは取材で訪れました。2回目の今日は、「本丸御殿」が江戸時代のままに再建されたと知ったからです。太平洋戦争末期の名古屋大空襲で、天守閣は幸いほとんど焼けずに済んだのですが、「本丸御殿」はすべて焼け落ちてしまったとのこと。しかし、写真や設計図が残っていたので再建は可能であるということから話は始まったといいます。

河村たかし市長の強力なリーダーシップで、10年前に話が決まったのですが、いちばんの問題点は建設資金の調達です。総工費150億円を、どこで、どのように確保するのか。お金にはうるさい名古屋ですから、かなりすったもんだがあったと聞いています。

そうした中、市民の寄付も募りながら、なんとか実現に漕ぎ着けたのですから、名古屋もまんざらではありません。というわけで、オープンしてまだ10日しか経っていない「本丸御殿」をじっくり見学することにしました。この日はすぐ近くである方のインタビューがあったのですが、午前の部と夕方の部に分かれていたため、その合間の時間を利用させてもらいました。

 

当初の熱気もやや落ち着き、しかも平日だったので、予想していたよりすんなり入場できました。中に入ってびっくり! 襖絵や天井画、家具調度、欄干の彫刻など、すべてレプリカと複製・復刻ですが、往時の華やかさがみごとに再現されています。つい数か月前、京都・二条城(こちらも徳川家が作ったもの)を見ているだけに、つい比べてしまうのですが、けっして遜色はありません。

観終わったあと、城のまわりをゆっくり歩いてみました。まあ、私が最後に名古屋城とその周辺を歩いた頃とは比べものにならないほど、きれいに整備されているではありませんか。ゆったりした敷地の中には大きな花壇やウォーキングコースが作られ、サイクリングロードまであります。ところどころにオブジェも置かれているのは、世界デザイン博や愛知万博を開催した影響かもしれません。そういえば、20世紀の終わり頃(1992年)には愛知県芸術劇場などという代物も建てられましたね。要するに、市の中心部エリアはすっかり大都市っぽくなったということです。