「鳥取砂丘美術館」で「砂」の奥深さを再認識

2017年11月25日
山陰ツアーも今日が最終日。いよいよ本来の目的である「第22回北前船寄港地フォーラム」です。23日の夜は前泊というか、非公式の懇談会(早い話が飲み会)に。フォーラムの運営にたずさわっているスタッフの苦労話を聞きながら、「早く本にまとめないと……」との決意を深めました。今年の2月から取材を始めているのに、まだ一文字も書けていないのですから、当然といえば当然かも。

IMG_2576昨日はフォーラムの本番でしたが、いまや本格的なイベントに飛躍した感があります。会場は「とりぎん文化会館」。「とりぎん」と聞くと首都圏からの参加者は焼き鳥屋を思浮かべてしまいそうですが、えらく立派な施設でした。1500人は収容できそうな会場も、1階席はほぼ満杯。毎回そうですが、5時間近くに及ぶロングランの会合に最後までいるのはかなりの忍耐力が必要です。

 

内容も、数年前とは大違い。パネルディスカッションの登壇者も、全員がそれぞれプロジェクターを駆使して話します。どこに出しても恥ずかしくない「学会」といった雰囲気でしょうか。

DSC04723ただ、それはそれとして、参加者のいちばんの目的は、終了後のレセプションと言っても過言ではありません。ふだんから交流がある業界もありますが、こうした場でしか接点を持つことのない、他業種の人たちと自由闊達に話ができるということで、今回も多くの方が参加していました。立食スタイルでしたが、「ウェルカニ」を謳う鳥取県での開催だけに、会場には当地の特産・松葉ガニが山のように並べられ、皆、舌鼓を打っていました。カニだけではありません。こちらは魚介類のレベルがとにかく高いのです。

ただ、大きな会場ではありましたが、参加者が400人近くとなると、やはり疲れてきますね。持ってきた名刺もほとんど底を尽いたところでちょうどお開きとなり、二次会に。そちらにも数十人が参加していましたが、翌朝(今日25日)のスタートが早いこともあって、早々に引き上げました。

 

IMG_2591今日は早起きです。というのも、昨日行き損ねた鳥取名物「(スタバならぬ)すなばコーヒー」を飲みながら朝食をと考えていたからですが、開店時刻の7時半に、ホテルから歩いてすぐの店に行ったらもう20人近い行列が! 私たちは18番目で、17人しか収容できない1回目のセッションにはタッチの差でアウト。仕方なくあきらめ、駅の反対側にある、「すなば」ならぬ「スタバ」に行きました。

 

今日はエクスカーションへの参加を申し込んであったので、バスに乗ってまず砂丘へ。ところが、「Pokemon GO Safari Zone in 鳥取砂丘」というイベントと日程が完全にバッティングしていたため、道路が大渋滞していました。開催期間(11月23~25日)中はレアな「ポケモン」がゲットできるというので、中国地方はもちろん、関西・九州、さらには首都圏あたりからも愛好者が殺到したのです。地元に関係者によると、「これほどたくさんの人が砂丘を歩いているのは初めて見た」そうですから、歴史上初めての状況を呈していたのでしょう。

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砂丘で感動したのは、「砂丘美術館」です。前に砂丘を訪れたときはまだなかった施設で、私たちも初めてですが、これは素晴らしい! 館内には年に1回──といっても開催期間は9カ月ほど──、一定のテーマのもとで巨大な砂の彫像が10~20点展示されることになっていて、そのどれもが大変な力作。今年は「アメリカ」がテーマで、西部開拓史やら摩天楼やらハリウッドやら、アメリカにちなんださまざまな彫像を見ることができました。一つひとつとてつもない手間がかっているのが感じられる作品に、深く感動。

どの像も、半月くらいの期間をかけて作られるのだそうで、全体をプロデュースしている茶圓勝彦さんは鹿児島県南さつま市の出身。同市吹上浜で毎年ゴールデンウイークに開催される「砂の祭典」は、日本で初めての“砂のイベント”だそうです。拙著『鹿児島学』にも記しましたが、その地に生まれ育った茶圓さんですから、およそ感覚が違うのでしょう。個々の彫像もさることながら、全体の並べ方はなんとも言えないユニークさが感じられます。単体でも素晴らしいのに、それが10数点も巨大な空間の中に並べられているのですから、迫力もハイレベル。これだけでも、エクスカーションに参加した甲斐があったというものです。

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そのあとは鳥取港近くの観光市場やお土産物屋が集中しているエリアに立ち寄り、夕方の便で東京に戻りました。そうそう、空港の片隅に、朝行き損ねた「すなばコーヒー」の小さな店があったので、そこ名物のパンケーキと砂コーヒーをセットで頼み、所期の目標も達成です。

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