36年ぶりに観た加賀まりこにドッキリ!

2017年9月22日


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ここのところ映画館からすっかり足が遠のいてしまっています。「これじゃ感性が錆びついちゃうよなぁ」という職業的な危機感があったのですが、今日は「決意」して早起きし、「午前10時の映画祭」に行きました。観たのは1981(昭和56)年公開の『泥の河』。宮本輝の同名の小説を小栗幸平監督が映画化した作品で、小栗のデビュー作でもありました。その年『キネマ旬報』の最優秀監督賞も取っています。

 

 

 

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その気になったのは、先週、「大人の社会見学」で一緒に寝泊まりした高校時代の友人Sくんのひと言=「『泥の河』を最近見たけど、ロケは中川運河だったんだって」がきっかけ。中川運河というのは、私が育った名古屋の市内を流れる、文字どおりの「泥の河」でした。Sくんは定年退職後、年間400本も映画を観ているといいます。昨日から来ている沖縄で、たまたま上映されていることがわかり、「よし、行こう」と。

 

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面白いもので、36年前とはまったく違うことを感じました。最初観たときは、太平洋戦争の匂いがまだ濃厚に残っている昭和31年の大阪が舞台ですから、「そうそう、オレもこんな格好で(メリヤスのランニングシャツにズック靴)遊んでたよな」とか、「子どもにとって50円は大金だった(1日5円のお小遣いが普通)」とかいったようなことばかり。モノクロの作品だったのも影響していますが、自分自身がまだそういう年齢だったからでしょう。

でも今回、66歳のジージになっているせいか、「そうかぁ。親は、子どもにああやって接しなくちゃな」など、いまとなってはまったく詮ないことを思ったりするのです。親の子どもに対する適切な気遣いというか、小学3年生に対しても人格を認め、傷つけたりいじけさせたりしないよう、成熟した大人としてコントロールしていくことがいかに大切か──。

!cid_D23EB54E5B9C7A5F7AA92C1141A8EB18CE4B9D89@edithousejp_onmicrosoftでも、最大のインパクトは加賀まりこ。この作品で助演女優賞を取りましたが、画面に出てくるのは5分もなかったのではないでしょうか。苦悩と不本意とが詰まった過去を背負いながら、いまは二人の子を持つ娼婦として生きていく役どころを、妖艶ここに極まれりといった空気を味わわせてくれました。

それにしても、この作品を観たスピルバーグに「あの3人の演技がこの上なく素晴らしい」とまで言わしめた子どもたちはどうしたのかなぁ……。