パリの動物園にはキリンが群生

2017年8月3日

ロンドンに出発するまで数時間の空きがあります。ホテルは「シャンゼリゼ通り」「凱旋門」近くですが、「ヴェルサイユ宮殿」まで行っている余裕はありません。そこで郊外でもわりと近い、「ヴァンサンヌの森」にある「動物園」に行くことに。メトロで1本、乗り換えもないので比較的楽そうです。

IMG_1310地下鉄の駅を降りると大きな宮殿があり、その先が動物園のようです。駅からはタクシーに乗りましたが、これがまたBINGO! 我が愛するキリンが、な、なんと12頭も群生しているではありませんか。ただ、すべてのキリンをいちどきに見られるわけではありません。表舞台に出ているのは4~5頭ほどで、残りはそこからは見にくい裏側のエリアにいるのです。まさか交代交代で登場するわけではないでしょうが、かなりの頭数がいるように思えたので、家人を車イスに乗せたまま、私ひとりでスロープを昇り、裏のほうに行ってみました。すると、6、7頭がのんびりエサを食んでいます。全部が同時に表のほうに出てきたらどれほどの迫力か……。なんとも、残念ではありましたが、それでも私がこれまで見た動物園のなかでは最大の集団です。

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園内での移動は車イスを押しながらですから、おいそれとはいきません。通路がすべて平坦というわけではありませんし、道幅が狭くなっているところでは、すれ違う人や、立ち止まっている人の後ろをすり抜けるようにして動くなど、それはそれで気を遣います。

ちなみに、車イスを借りることについては、事前にネットで調べておいたので、入口でチケットを買ったあと、すぐそばにある事務所で手続き(ここではパスポートを預けるスタイル)を済ませるだけでした。

パリの動物園はもともと80年以上も前に誕生しましたが、10年ほど前にいったんクローズして大リノベーションされ、2014年に再度オープンしたのだそうです(その間、動物たちはどうしていたのか気になりますが)。14・5ヘクタールもの広さ(東京ドーム3個分)があり、園内の仕切り方もユニークなので、どの動物ものびのびした雰囲気です。園内にそびえる岩山(アフリカにはありそうもないような)は、元からあったのか人工的に造ったのかわかりませんが、広いだけにわかりやすい目標になっているように思えました。

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IMG_1325メトロの駅までバスで戻り、近くのレストランでランチを済ませると、預けておいたスーツケースを取りにホテルまで戻ってタクシーを呼んでもらいました。長年の夢だった「ユーロスター」のパリ側の出発駅=北駅までに移動するためです。そもそも、「世界陸上」の観戦だけが目的なら、航空券も東京・ロンドンの区間で購入すればいいのですが、ついでに「ユーロスター」に乗ろうと思いついたことで、パリ往復のチケットにしたのです。
「ユーロスター」に乗るにはチェックインの手続きがあります。なるほど、国際線ですからそれも納得。チケットとパスポートを持ってフランスを「出国」すると、すぐイギリスへの「入国」手続きが。そのブースの先には、空港と同じく「免税店」もありました(規模は全然小さいですし、ブランド品もなし)。

ただ、沿線の景色はあまり刺激的ではありません。えんえんと畑が続いたかと思ったら、風力発電用の風車がずらっと並ぶエリアがあり、そこを過ぎるとドーバー海峡に下を通り抜けるトンネルです。北海道新幹線のように、アナウンスが流れるわけでもなく、気がついたらそこはもうイギリスという感じでしょうか。

IMG_1103到着したのは、ロンドン市内でも東のほうにあるセント・パンクラス・インターナショナル駅。ラグビーW杯の観戦で2年前に訪れたとき、のべ8泊(後半の5泊は帯状疱疹で入院状態でしたが)もしたホテルのすぐ近くなので、なんだかなつかしい感じがします。

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今回はそのとき、いつも前を通り過ぎながら感心していた、ヴィクトリア様式の古めかしい建物のホテルに4泊。セントパンクラスの駅に隣接しており、最初にステーションホテルとして建てられてから140年ほど経過しているといいます。1935年のホテル廃業後は、第2次世界大戦中に3度も空襲に遭ったのだとか。老朽化がいちじるしく、結局、1990年代半ばまでずっと放置されていたそうです。その間は映画やテレビドラマのロケに使われなどしながらかろうじて命脈を保ってきましたが、2007年、「ユーロスター」の発着駅に決まったことで、その運命が大きく変わりました。

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IMG_1357どこかの国の事業家がこの建物を買収し内部を大改装、新しいホテルに生まれ変わらせたのです。バーとレストランはもともと、旧セントパンクラス駅の切符売り場だったスペース。内部の梁や柱も昔のままで、それが全体の中でみごとに調和しています。古き時代の豪華絢爛な内装を生かした旧館は目の玉が飛び出るような宿泊費を取りますが、私たちが予約しておいた新館のほうは、大改装に併せて増築した部分なので、値段も手が出る範囲。部屋は広く、快適に過ごせそうです。