2日続けて「いい映画」に出会う

2017年2月14日

昨日、今日と2日続けていい映画を観ました。昨日は『ザ・コンサルタント』、そして今日は『この世界の片隅に』。まったく毛色は違うものの、ズシンと心に残る作品です。

320『ザ・コンサルタント』のキャッチフレーズは、「“2つの顔”を持つアンチヒーローが、あなたを虜(とりこ)にする──全米初登場NO.1 超本格サスペンス・アクション! 天才的な頭脳を持つ会計コンサルタントであると同時に、圧倒的な殺人スキルを誇る殺し屋。果たして、この男は何者なのか?」

アクションなので基本はドンパチなのですが、善と悪(それもハンパないレベルの悪)の両面を併せ持つ主人公が、この作品ではもっぱら善の部分を演じています。ただ、途中から命を狙われるようになると、一転、持ち前の悪の部分が顔を出します。敵とのドンパチも、そんじょそこらの武器ではなく、軍事仕様の超ハイレベル。やられるほうも肝をつぶすような代物です。

しかし、この映画はそこにシリアスな要素、そしてなんともヒューマンな色合いもからんできます。何より、そうした人生を歩むことになった背景には、自身のメンタルな病歴と、それを乗り越えさせようと強引な教育をほどこした父親の存在が……。この種の映画でウルウルした経験はこれまでありませんでしたが、それが違うのです。

 

507e0f31f5a568e5『この世界の片隅に』はロングランを続けているアニメ作品。絵が丁寧というか、ディテールまでしっかり描き込まれているのにまず感動します。そして、ヒロインの声(のん=能年玲奈)が主人公「すずちゃん」とフィットしていること。声がここまでイマジネーションの世界を広げるんだというのは新鮮な体験でした。

 

舞台は、太平洋戦争中の広島県・呉。知識としては知っている「空襲」ですが、その恐ろしさがこうまでとは……。きちんとした取材がベースになっているのがひしひしと感じられました。その空襲が1日に何度も、昼となく夜となくあるのですから、地上に暮らす人たちのストレス、いな恐怖感は想像を絶するものがあります。

 

かわいい、愛嬌さえ感じられる絵に魅せられ、そうしたシリアスな部分が二の次になってしまいそうですが、それがこの映画の最大の特徴でしょう。たとえば広島に原爆が落ちる瞬間のシーンも、悲壮感の描き方に‟等距離感‟があります。それがかえって、ホンワカした心にずっしり重たい課題も残すという、これまでにない新鮮な経験をさせてくれました。恐ろしいもの怖いものを、ことさら強調する方向で描くのではなく、逆方向、日常生活の視点に立って淡々と表現することで、その存在感・重量感がむしろリアルに迫ってくるのです。